苦境に立たされるMozilla Firefoxとオープンソースビジネスモデルを見て思う「組織について」
TechWave.jpにて、「Firefoxがピンチ シェア低下、人材流出、Google契約打ち切りで【湯川】 : TechWave」という記事が上がっている。
記事の最後に、エントリー主の湯川氏による感想があり、こう書かれている。
今年9月にサンフランシスコで開催されたTechCrunch Disruptを取材したときに元TechCrunch編集長のMichael Arrington氏が「Firefoxなんて使ってるやつなんてもういないだろ」と語っていたので、少々驚いた。そうかシリコンバレーのアーリーアダプターの間ではFirefoxってあまり使われていないんだと思った。
(途中略)それにしてもオープンソースって新しい時代の究極のビジネスモデルとして期待されていたのに、どうして機能しなくなったんだろう。ちょっと考えてみたい。読者のみなさんはどう思われます?
Mozilla Firefoxには、とてもお世話になったし、Mozillaが無ければ、今のIT業界とくにブラウザ業界の進化はこうなっていなかったかもしれないとも思う。(特にFirebugとFireMobileSimulatorにはお世話になった)
とはいえ、私もすっかりメインのブラウザは、Chromeになってしまっている。ブラウザシェアを見ても、実際使用している実感としても、ChromeがFirefoxよりもユーザーのニーズに応えていることは明白だと思う。
なぜこうなったのか。単純にGoogleがすごいという話もあるが、そもそもChromeのベースとなっているHTMLレンダリングエンジン「WebKit」はオープンソースプロジェクトだ。Googleか、オープンソースプロジェクトかという話では無いのだろうと思う。
上記の湯川さんの質問を見て、少し考えて思うことは、組織って以下の順で良いのかなということ。
↓
緩い統制による自由な集団
↓
統制されていない組織
とても多義的な表現になってしまってアレなのだけど、統制された組織というのは、要するにリソースを正しい方向に集中して投じることが出来る組織のことで、例えばAppleがこれに当たるのかなと思う。GoogleのChrome開発チームがこれに見える。
緩い統制による自由な集団は、キチキチな統制では無いが統制はとれていて、ただリソースがやや集中していない組織。これがオープンソース集団のイメージ。オープンソース集団と言っても多数・多種あるので、もちろんこれに該当しない組織もあるだろう。
統制されていない組織は、よくあるダメな組織だ。目標設定が正しくないか、それに向かうリソースの集中が出来ないか、またはその両方を発症している組織で、やるべき事とやってはいけないことが不明確な組織だ。Microsoftがこうだったかはわからないが、やっとIE9で追いついたくらいInternet Explorerは方向性を間違っていた(ないし自分の進む方向に周りを向けられなかった)と思う。
もちろん、その組織に集中したら結果を出せる人材や資金などのリソースがあることが前提になるけれど、組織はやはり統制されているかどうかと人材・資金などのリソースがあるかどうかなのだろうと思う。
オープンソースは、士気の高い人材が集まりやすいとも言えるし、ある程度気の合う仲間同士で集まるから、なんだかんだ緩い統制が働く。だから、ダメダメな組織に比べたらよっぽど良いプロダクトが生まれるだろう。
しかし一方で、人材と資金がある統制された組織より優れたプロダクトを出せるかというと、そうでは無いのかもしれないとも思う。しかも、その組織はオープンソースによって出来上がったプロダクト・成果を自由に利用できるのだ。
今後ますますMozillaは、Googleの後塵を排することになるだろう。それはオープンソースだからというよりかはむしろ資金と人材が流出したからだ。
とはいえ、それらピンチによって、Mozillaがより統制された組織に近づいていくかもしれないとも思うのだ。
そうなると、Chromeに食われ尽くすこと無くFirefoxは一定のシェアを保ち続けるかもしれない。
持続していく上での問題はFirefoxというプロダクトの質よりも、資金の面で組織や人材を保てなくなることか。
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